菅原一剛 湿板写真ドキュメント本

ただいまVol.3〜4を
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光の歴史家


男、歌う
ニシブチ(北風)にすっくと立ち
女、返す
ハイヌミカゼ(南風)に髪なびかせ

光、舞う
ケンムン(妖怪)はマングローブに隠れ
光、漂う
サンシン(三線)はコバルトの海に響き

そんなときだ
湿板はそっと風景を受け止める
両手をいっぱいに伸ばして
奄美を胸の底まで吸い込むのだ

湿板よ
記憶のダイバーよ
湿っている間にシャッターを押せ

湿板よ
瞬間のアスリートよ
湿っている間に暗室に走れ

本当の光は
風土の中でしか出会いない

菅原一剛は
奄美の島で今日も
光の歴史家である


博報堂生活総合研究所所長 関沢英彦



「あかるいところ」

現在東京に暮らし生活する私にとって、奄美は決して近いところではない。しかし、不思議なことに、時にはとても近い場所のように感じる。確かに東京は多くのもので満ち溢れていて、その色彩も多種多様である。それに対して奄美は、物理的な情報も含めてものは少なく、色彩の多くは自然界が作り出すもので、一見その種類はとても少ないように見える。しかしこと印象ということになると、どうであろうか? その場所は簡単に逆転する。実はいろいろあると思っている東京には何も無く、印象に残る色彩も少ない。逆に奄美には、人々の印象を含めた様々なものがあって、その色彩も全てが心に刻まれているような印象を受ける。私は決して奄美が良くて、東京が悪いというようなことを言うつもりはない。ただこのように、近くて遠い場所があったり、遠くても近い場所があることの事実と向かい合うことが、今の私にとってとても大切なことだと感じている。(以下略)

菅原 一剛

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