透体嗜好症

子供の頃のことです

なぜか透き通ったものに惹かれる癖があることに気づきました

ひずみのあるガラス瓶
色とりどりのビイズ
すりガラスのかけら
小さく切り抜かれた色つきのセロハン
ひんやりと固まったゼリイ
セルロイドの小物入れ
切り子の小皿

それらを通して見てみた光は
いつも見ているものとは違う感触でありました

やがて大人になって恋をしました

相手の考えかたや感じかた
ものの見方が
自分のくぼみにはまるやうに大好きになりました

そして、ある日
その人にこう言われたのです

「なぜだらう? なんとはなしに落ち着かないのだよ」

「君の前では自分がとっても透明になったやうな気持ちになるのだから」