子供の頃、時間は今よりもゆっくり過ぎていた。やっぱりそう思う。
僕には二人の兄がいて、幼かったあの頃よく三人で近所の駄菓子屋に通った。
一日50円の小遣いをいかに上手く使うか、それが楽しみだった。
駄菓子屋に着くと、まずは一個5円のアメ玉を二つ買い、それを舐めながら今日の買い物の作戦を練るのだ!なんせ夕方まで50円で、有意儀なちびっ子ライフをおくらなければならない。少ない脳みそをフル回転である。まずはこのアメ玉で軽く一時間くらいは粘る。(笑)店の前でメンコをしたりプロレスをしたり。時々アメ玉を喉に詰まらせて本気で死にそうになったりもした。そういう時は、必ず駄菓子屋のじいちゃんが出てきて、僕の背中の上の方を思い切りバシッと叩いてくれ無事に蘇生させてくれる。頼れる大人である。(笑)
兄達は僕より10円ずつ小遣いが多いいので、同じペースで使ってしまうと後で兄のお菓子を物欲しそうに眺めることに羽目になる。そこでまた脳みそフル回転である!『あれ、おいしそうだよ』と兄をあおって菓子を買わそうとする。そしてやっと僕は、最後のフィナーレに大好物のチョコリングを買って、兄達に見せびらかせながら食べる。でもやり過ぎると容赦なくパンチが飛んできて、結局泣きながら家に帰ることになるのだ。(笑)
陽が傾き始め長くなった自分の影、背中が暖かかった。
あの頃は、こんなふうに日々が過ぎていた。大人になった今思いだすと、あの時舐めたアメ玉のように僕のこころはキュッと甘酸っぱくなる。 |