2006.03 「日射し」

 

  撮影でハワイに行ってきた。朝早く着いたホノルル空港は激しく雨が降っていた。異国でも雨を降らす、僕の力は健在である。(苦笑)
何でもこっちは3週間くらいずっと天気が悪いらしい。こんなに雨が続くのは、生まれてから初めてだと地元のおじさんが言っていた。大変な時に来てしまったなぁ…。
行き場を失った観光客たちは、ホテルのエントランスに溢れている。中流家庭の日本人が集まる高級ホテル。そして異常気象…。浮かない気持ちのまま午後まで部屋で寝ることにする。1〜2時間は寝ただろうか、何やら窓の外が騒がしい。目を開けるとカーテンの隙間から光が漏れているではないか、どうやら天気が変わったらしい。半分寝ぼけながらバルコニーへ出ると、眩しい日射しが目の前の景色を強く輝かせていた。
さっきまで途方に暮れていた観光客たちは一斉にビーチに散らばり、今までの時間を取り戻すかのように、思い思いにこの日射しを楽しんでいる。
みんなの気分を一瞬にして変えてしまう日の光のすごさを改めて感じた。
人々でごった返すワイキキビーチ。今は、これはこれで見ていて気持ちがいい。
みんな待っていたのだ。 そして僕も…。
目の前では、たくさんの人の心の温度まで上げてくれた日の光が、すべてのものに平等に降りそそいでいた。