年明け築地市場にやってきた。ここでは、まだ日が昇らない朝早くから競りがはじまり、大きな声が飛び交っている。
最初は築地で撮った写真を菅原さんに褒められ、そしてうれしくなってその後も何回か撮りに行っているうちに僕はこの場所が好きになった。
ここで働く男たちを見ていると、僕は彼らに男というものを感じるし、意識させられる。活きた魚たちを大量に相手にする彼ら、『力とスピード』、体を張った真剣勝負である。そしてユーモアもある、仲間うちで交わされる言葉はシャレっけがあり(おやじギャグも含む)、みんなに笑顔が生まれる。
もしかしてここが東京で一番、人々に活気が溢れている、そんな場所じゃないかと僕は思ってしまう。
海を相手にする漁師や、その魚を扱う市場の人たち。そんな彼らに僕はなぜか惹かれる。時折見せる彼らの真剣な横顔や遠くを見つめる目に、僕には持っていない何かを感じるし、僕は『その何か』を知りたい。そしてできれば『その何か』が解るまで彼らを撮っていきたいと思っている。
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