2007.06 「南米〜その2 アマンタニ島」

 

 

 チチカカ湖に浮かぶ小さい島。『アマンタニ』と言う名の島はプーノという町からフェリーで三時間半くらいの所にある。のんびりと時間が進むこの島を気に入り、僕は二度足を運んだ。一度目はみんなと一緒に来て、今回はボリビアでみんなと別れてから一人でやってきた。島の人達は山の斜面の畑を耕し、羊を飼い、島に訪れる観光客を代わりばんこに泊め暮らしている。一言でいうと退屈な島だったけど、そこが何だか妙に落ち着きのんびり過ごせるそんな島だ。

 フェリーで一緒に乗り合わせたおじさんに、何日か泊めてくれないかとお願いしてみたところ、『二、三日だったらいいよ。』と言われたので、ありがたくおじさんの家にお世話になることにした。名前はカルロスといった。カルロスおじさんは畑で穫れた芋をプーノまで売りに行きその帰りだった。話すともの静かだけどどこか温かい、そんな印象の人だった。 島に車は走っていなく、電気は辛うじて通っているが水道は通っていなかった。カルロスおじさんは畑仕事の合間に島をいろいろ案内してくれた。歩いていると時々人にすれ違い、時々羊の群れに出くわした。山のてっぺんからはきれいな夕日が見えた。

 二日目の夜、島の公民館みたいな所で開かれるダンスパーティーに行こうとカルロスおじさんに誘われたので一緒に参加した。そこでは地元の青年会の人が演奏するフォルクローレに合わせみんな楽しく踊っていた。
 観光客とのレクリエーションの企画だと思うのだけれど、島の人達も心から踊るのを楽しんでいるのがわかりうれしくなる。そして僕もその輪に加わる!
 いつもインディへナの女性は控えめだが、この時ばかりは積極的で、民族着を着た中学生くらいの女の子が『一緒に踊りましょう』と、僕の手を取りステップを教えてくれる。サンポーニャという笛の音が響く、頭のずっとずっと奥でひびく。 右、左 体を揺らしリズムに乗る。だんだん汗をかく、空気も薄いので息が切れそうになる。目をつぶってステップを踏むと何だか夢の中にいるみたいに感じる。 だんだん体が軽くなる。 流れる汗が気持ち良い。
僕は今いったい何処にいるのだろう...。 何処でもいいや...。  遠い遠い国で笛の音が響く。

 休憩も入れながら一時間以上踊っただろうか?
 帰り道、カルロスおじさんが上を指差す。空には出来すぎたくらいのキラリと光る星空。
ずっと踊っていたので体の力が抜けている。空を見ながらヨロヨロ歩く僕の姿を見てカルロスおじさんが笑っている。可笑しくなって僕も笑いだす。そしてふたり握手をし肩を叩き合う! 畑仕事でごつごつした手だった、働き者の手だ。  

 楽しい時間...。 生きているとぼんやりしている毎日にたまに、ほんとにたまにだけど今みたいに一瞬キラリと輝く時間がある。その『一瞬のキラリ』は、その後のまた長い長いぼんやりした時間を過ごしてゆけるくらいの力を、いつも僕たちに与えてくれる。